大臣認定工法について
次のような意味になります。PSは、「Pipes pass through fire Separation of quasi-fire proof construction」(準耐火構造の防火区画を貫通する管)の略表記になります。060は60分を意味します。WLはWall(壁)、FLはFloor(床)の略になります。
大臣認定番号は、次のように表記されます。
・床貫通 : PS060FL-○○○○
・壁貫通 : PS060WL-○○○○
最初に認定を受けている構造名の、英語の略号がアルファベットで表記されています(大概が2文字です)。次に、要求性能時間が「分」単位で書かれ、その後にその構造の部位が英語表記の略号で書かれています。最後(ハイフンの後)に、その認定工法固有の通算番号が4桁の数字で書かれています。
例えば、認定番号の中に「FL」と書いてある認定工法は、床の工法であり、番号を見ただけで壁には使えないことが分かるようになっています。ハイフン後の4桁の数字については、BCJ評定工法が読替えされ移行認定となったものは9000番台、改正建築基準法が施行されたあとの認定については0001からの通し番号で示されています。
まず、国土交通大臣の指定性能評価機関で、区画貫通部性能評価試験を受けます。その試験結果をもとに、指定性能評価機関は性能評価書を交付し、また申請者の依頼により大臣認定申請を代行します。尚、指定性能評価機関の一例として、次の機関があります。
(2024年10月現在、五十音順)
(一財)建材試験センター
(一財)日本建築総合試験所
(公財)日本住宅・木材技術センター
(一財)ベターリビング
区画貫通部性能評価試験については、主に(一財)建材試験センターと(一財)日本建築総合試験所で行われております。
指定性能評価機関との打合せ、試験体作製、区画貫通部性能評価試験、性能評価、性能評価書交付、国土交通大臣認定申請、審査、認定書交付等の手順で進められ、申し込みから認定取得まで6ヶ月以上かかります。
性能評価書、大臣認定書の交付にあたっては、区画貫通部性能評価試験を受けた構造・寸法によって評価された範囲が付帯条件となります。現場での適用にあたっては、それらの条件を満たす事が必要になります。
主な付帯条件は以下の通りです。
- 1:貫通する壁、床の構造
- 2:開口部断面積、形状
- 3:貫通ケーブル等の種類、最大(導体)サイズと占積率
- 4:耐熱及び耐火材料等の種類・材質・寸法・厚さ
大臣認定における最大面積については、性能評価を受けた面積を最大とします。しかし実際には指定性能評価機関で試験を行えるサイズに限りがあるので、その最大サイズ、現状0.75m2以下を適用しています。
指定性能評価機関における区画貫通部の性能評価試験では、以下の試験体仕様で試験が可能になっています。

上記表は、指定性能評価機関の評価業務方法書に記載されており、評価業務方法書は各指定性能評価機関のホームページからダウンロード可能となっております。
(一財)建材試験センター(https://www.jtccm.or.jp/)
(一財)日本建築総合試験所(https://www.gbrc.or.jp/)
一般に適用工法の付帯条件である最大開口面積以下になるように開口部を仕切りますが、仕切りの方法等については、事前に関係諸官庁と相談される事をお奨めいたします。
認定工法を十分理解し、認定取得社と相談すると共に関係諸官庁へも事前に相談される事をお奨めいたします。
耐火構造ボード壁(中空壁)をケーブルが貫通する場合については、弊社商品「タフロックロクマックス壁用キット」「タフロックスマート」「タフロックイチジカンMG」等耐火構造ボード壁で国土交通大臣認定を取得した商品が適用可能です。
また、BCJ評定が読替えされた移行認定工法(認定番号末尾4桁が9000以降の工法)は、耐火構造ボード壁(中空壁)の認定工法ではありませんが、大臣認定書に「留意事項」として資料が添付され、0.8mm厚以上の鋼製枠などを設置し中空壁内部に火災時の炎が入らないように配慮することで適用ができるようになっております。
(ただし、移行認定工法の耐火構造ボード壁(中空壁)への適用は、あくまでも本来の大臣認定とは違いますので、事前に関係諸官庁と相談されることをお奨めいたします。)
建築基準法施行令では防火区画以外の防火措置に関しては触れていませんが、認定工法、又はそれに準じた措置をすることが望ましいです。
建築基準法施行令では防火区画以外の防火措置に関しては触れていませんが、認定工法、又はそれに準じた措置をすることが望ましいです。ただし、気密性(防煙性)には特に配慮してください。
大臣認定工法を措置した場合では、延焼防止処理を追加する必要はありません。
準耐火建築物に関わらず、防火区画を給水管、配電管その他の管が貫通する場合には、性能基準(加熱開始後一定時間、非加熱側に火災を出す原因となる亀裂や損傷を生じないこと等)に適合した認定工法による措置が必要です。
建築物の用途・規模によっては、両面防火構造の壁が準耐火構造の性能と同水準であることから、防火区画として用いられる場合があります。これらを給水管、配電管その他の管が貫通する部分の防火措置は、認定工法による防火措置を行って下さい。その他の場合には、関係官庁に御相談することをお奨めいたします。また、外壁に対して施工する場合には、防水対策を別途考えてください。
ケーブル貫通部用と同様な工法があります。弊社商品「タフロックロクマックス壁用キット・床用キット」のほか壁貫通部には、耐熱シール材・耐火板・耐火充填材を用いたサンドイッチ工法、床貫通部には、これらの材料に鋼製スリーブを加えたスリーブ工法と、壁貫通部と同様のサンドイッチ工法があります。これらの工法は全て大臣認定を取得しています。詳しくは弊社技術部までお問い合わせください。
現在、金属ダクト貫通部に適用可能な認定工法はございません。電気設備工事共通仕様書及び工事標準図と建築設備設計・施工上の指導指針に、施工方法の参考例が記載されておりますので、これを参考に現場施工をご検討ください。
- 1.金属管が防火区画の壁面、あるいは床面よりそれぞれ両側に1m以上施設されている場合、壁、或いは床と金属管のすき間に、モルタル等の不燃材料を充填することによって政令の規定を満足します。(建築基準法施行令第112条第20項、129条の2の4第1項第七号イ)尚、金属管の端部は耐熱シール材等で密閉することが望ましいです。
- 2.硬質塩化ビニル管に関しては以下の条件を満足している場合、壁、或いは床と硬質塩化ビニル管のすき間にモルタルその他の不燃材料を充填することによって規定を満たします。
(1)硬質塩化ビニル管の太さは外径90mm未満、肉厚は5.5mm以上であること。
(2)内部に電線を挿入していない予備配管にあっては、当該間の先端を密閉してあること。
建設省告示第1422号「準耐火構造の防火区画を貫通する給水管、配電管その他の管の外径を定める件」に用途、材質に応じた寸法仕様が表記されています。
尚、電線管に関する大臣認定工法を用いる場合には、この限りではありません。
防火区画の貫通部にPF管を直接貫通させての使用はできません。しかし、図のようにそれぞれ両側1m以内の距離に不燃材料の管を使用し、かつ防火区画と不燃材料の管とのすき間をモルタル等の不燃材料で埋め、その管の中にPF管を配管する場合は使用できます。 不燃材料の管の端部は耐熱シール材等で密閉する事が望ましいです。 (建築基準法施行令第112条第20項及び、第129条の2の4第1項第七号) 尚、合成樹脂製可とう管に関する大臣認定工法を用いる場合にはこの限りではありません。

予備とはいえ、貫通孔であり、国土交通大臣認定工法で施工すべきです。実際の施工方法に関しては、事前に所轄行政や指定確認検査機関に確認をお願いします。
基本的に、消防法施行令第8条に規定されている耐火構造の壁や床をケーブル配線が貫通する事は認められておりません。
配管類については、平成7年3月31日付けの消防予第53号通知により、消防法で規定している区画を貫通する場合の管の要求性能が定められており、建築基準法で規定される大臣認定工法とは別の(一財)日本消防設備安全センタ-による評価を受けた工法を使用するように求められていましたが、平成13年の同通知改正により、(一財)日本消防設備安全センタ-に係わる記述が全て削除されております。このことから、現在では(一財)日本消防設備安全センタ-評定は必ずしも必要とされるものではありませんが、消防予第53号通知の要求性能を満たすものとして扱われ、使用されております。
工法の品質管理について
国土交通大臣認定工法通りに施工されたケーブル配線の防火貫通部の防火措置に対して、ケーブル防災設備協議会が共通形式で作成し会員が発行するラベルです。工法表示ラベルは、大臣認定番号、認定取得社名、施工会社名、施工年月などの情報を表示することを目的としています(過去にBCJ評定を取得している工法については、評定番号を記しています。)尚、2024年度版「建築設備設計・施工上の運用指針」には「認定工法による防火措置を実施した場合には、認定を取得した工法であることを明確に示すため、施工者は、その工法の認定番号、認定取得会社、施工会社名等を記載したマークやラベルを施工場所の容易にわかる位置に貼る等、留意すべきである。」と指導されています。

- ※2000年6月以降に認定取得したものはBCJ評定番号は記載されておりません。
- ※縁取りとロゴの色は、2000年5月迄に取得しているものに関しては、ケーブル貫通部が赤色、バスダクト貫通部が緑色。それ以降のものは、区別無く青色です。
法律では、施工に関する講習の義務付け、資格の取得を規定していませんが、国土交通大臣認定工法は、認定通りの材料を使って、認定通りに施工した時に初めて効力を発揮するものですので、工法内容の理解が非常に重要となっております。したがって、ケーブル防災設備協議会主催の「講習会」、または認定取得会社が主催する「工法説明会」、「講習」等へ積極的に参加することをお奨めいたします。また、資格ではありませんが、協議会主催の「講習会」に参加され、一定のレベルの技術・知識を保有、理解されたと確認できた方には、修了書及び修了番号を発行いたします。尚、修了番号は、工法表示ラベルに記載することが出来ます。
2002年より、ケーブル防災設備協議会が主催で行う、認定工法施工の技術力及び安全性向上のための講習会です。営利目的ではなく、会場代やテキストなどの実費のみを受講者にご負担頂くものです。開催日・会場につきましては、下記にお問い合わせください。
ケーブル防災設備協議会
TEL 03(3546)8750 FAX 03(3542)6037
ホームページ https://www.cfaj.gr.jp
現在、ケーブル防災設備協議会の工法表示ラベル運用基準の見直しにより、認定材料の誤使用のおそれの少ない商品(キット品)を対象に、工法表示ラベルを同梱しております。紛失なさらないように注意してください。また材料単品の購入で認定工法の施工を行われたり、紛失されたりした場合の「工法表示ラベル」の手続きは以下の様になっております。

- (注1)ラベル発行は請求書受取り後、約10日を要し、施工前に発行することは出来ません。
- (注2)施工中もしくは施工後に施工品質の確認をさせて頂くことがありますので、その際はご配慮ください。(事前にご連絡致します。)
充填後に密度管理をすることは困難なので、施工時の管理が重要となります。開口内体積と充填密度から充填量を算出し、これに見合う量を充填します。なお、ケーブルを撤去した時には、充填密度が低下しますので、追加充填が必要になります。
認定工法通り施工できるよう、指定確認検査機関を含めて関係各所と相談を行ってください。
法令
ケーブル配線などが防火区画等を貫通する場合の防火措置工法に適用される法令は、建築基準法であり、関連する主な条項等は下記のようにまとめられます。
建築基準法
第2章「建築物の敷地、構造及び建築設備」
第36条
(この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準)
<抜粋>
「給水、排水その他の配管設備の設置及び構造に関して、安全上、防火上必要な技術的基準は政令で定める。」
建築基準法施行令
第4章「耐火構造、準耐火構造、防火構造、防火区画等」
第112条第20項(防火区画)
<抜粋>
「給水管、配水管その他の管が準耐火構造の防火区画を貫通する場合においては、当該管と準耐火構造の防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。」
第5章の4「建築設備等」
第129条の2の4第1項第七号(給水、排水その他の配管設備の設置及び構造)
<抜粋>
「給水管、配電管その他の管が防火区画等を貫通する場合においては、これらの管の構造は、次のイ~ハのいずれかに適合するものとする。」
建設省告示
平成12年5月26日建設省告示第1378号
「耐火構造の床又は壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造方法を定める件」
平成12年5月26日建設省告示第1385号
「準耐火構造の壁を貫通する給水管、配電管その他の管の部分及びその周囲の部分の構造方法を定める件」
平成12年5月31日建設省告示1422号
「準耐火構造の防火区画等を貫通する給水管、配電管その他の管の外径を定める件」
建設省通達
平成12年6月1日建設省住指発第682号第4の4
「給水、排水その他の配管設備について」
耐火性能は、建築物の部分と階数に応じ、次の表に掲げる時間、通常の火災による火熱が加えられても構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることとされています。(建築基準法施行令第2条第1項八、第107条等)

-
備考
- 1.第2条第1項第8号の規定により階数に算入されない屋上部分がある建築物の当該屋上部分は、この表の適用については、建築物の最上階に含まれるものとする。
- 2.この表における階数の算定については、第2条第1号第8項の規定にかかわらず、地階の部分の階数は、全て算入するものとする。
準耐火性能は、建築物の部分に応じ、次の表に掲げる時間、通常の火災による火熱が加えられても構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることとされています。

また、壁、床及び軒裏では、通常の火災による火熱が加えられた場合、45分間(延焼のおそれのある部分以外の部分である、非耐力壁の外壁及び軒裏では30分間)、屋内に面する非加熱面の温度が可燃物燃焼温度以上にならないこととされ、外壁及び屋根では、屋内での通常の火災による火熱が加えられた場合、45分間(延焼のおそれのある部分以外の部分である、非耐力壁の外壁及び屋根では30分間)、屋外に火災を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものとされています。(建築基準法施行令第107条の2)
耐力壁である外壁では、建築物周囲で発生する通常の火災による火熱が加えられた場合、30分間、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることとされ、外壁及び軒裏では、建築物周囲で発生する通常の火災による火熱が加えられた場合、30分間、屋内に面する非加熱面の温度が可燃物燃焼温度以上にならないこととされています。(建築基準法施行令第108条)
建築物の構造、用途、規模に応じて防火区画に関する規定があります。
- (1)建築物の構造別による防火区画
(建築基準法第26条、建築基準法施行令第112条第1項、第4項~第10項)

- (2)建築物の用途別による防火区画(建築基準法施行令第112条第18項)
建築物の一部が、特殊建築物(劇場、マーケット、病院等)である場合、この部分とその他の部分とを、1時間の非損傷性、遮熱性、遮炎性に適合した準耐火構造の床若しくは壁、又は特定防火設備で区画しなければならない。 - (3)建築物の竪穴区画部分の防火区画(建築基準法施行令第112条第11項)
準耐火構造である3階以上の住戸、吹き抜き、階段、昇降路、ダクトスペース等といった、用途上区画できないものと、外気に直接触れる廊下やバルコニーとは、準耐火構造の床若しくは壁、又は遮炎性能を持った防火設備で区画しなければならない。
防火区画を貫通する給水管、配電管その他の管に措置する防火措置としての建築基準法施行令第112条第20項、第113条第2項、第114条第5項、第129条の2の4第1項第七号イの仕様規定が適用されます。以下に各規定を図示します。
仕様規定として定める上記以外の構造では、管の外径が、用途、材質その他の事項に応じて大臣が定める数値未満でなければなりません。(建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号ロ)
上記の仕様規定で認められたもの以外では、建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号ハに示される性能を満足するものとして、大臣の認定を受けたもので措置しなければなりません。

ケーブルが防火区画を貫通する箇所の防火措置工法に対して、性能基準に適合する事が認められたもののみ、大臣認定が与えられます。性能基準は、通常の火災による火熱が加えられた時に、加熱開始後一定時間の間、加熱側の反対側に火炎の噴出と発炎が無い事、火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないという事とされています。従って、建築物の耐火性能との関係は、非損傷性、遮熱性、遮炎性の時間による違いがあります。
- <1時間>
-
- ・面積にて規定された面積区画を貫通する場合。(面積区画)
- ・11階以上の建築物で面積にて規定された面積区画を貫通する場合。(高層面積区画)
- ・建築物の一部が特殊建築物であり、その他の部分と準耐火構造で区画している部分を貫通する場合。(異種用途区画)
- ・防火壁を貫通する場合。
- <45分>
-
- ・共同住宅の各戸の界壁
- ・学校、病院、ホテル、下宿、マーケットにおける間仕切壁
- ・建築面積300m2超えの木造小屋組の隔壁
- ・耐火建築物以外を連絡する渡り廊下で、木造の小屋組の隔壁
- <20分>
-
- ・上記以外の防火区画
国土交通大臣に指定された性能評価機関が制定した試験方法によります。加熱条件としては、ISO834 Fire-resistance tests -Elements of building construction-に規定された次式を採用しています。
T=345 log10(8t+1)+20
T : 平均炉内温度(℃)
t : 試験経過時間(分)
又、性能評価においては、下記の点が耐火性能を有するための条件になっています。
- 1.非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと。
- 2.非加熱面で10秒を超えて継続する発炎がないこと。
- 3.火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を生じないこと。

区画貫通部の耐火性能試験規格として下記のようなものがあります。

令8区画には、原則的に配管が貫通してはいけません。但し例外として、必要不可欠と認められたものは、その開口部が防火区画の耐火構造と同等と認められる場合にのみ認められます。それでも、令8区画に関しては、電気配線・ガス管配管は許されず、給排水管のみが許されています。
特定共同住宅等の区画貫通部については、平成17年消防庁告示2号により開口面積、配管径などが制限されております。さらにその耐 火性能については平成17年消防庁告示4号により規定されております。従って、防火措置は大臣認定工法でなく、告示2号に規定された 措置もしくは告示4 号 に規定された耐火性能をもつ工法でなくてはなりません。
区画貫通部防火措置工法の性能評価、認定、施工、検査に関する役所、機関、業界を図1に示します。

材料
建設省通達昭和44年住指発第325号「防火材料認定要領」の中で、不燃材料、準不燃材料、難燃材料、更に準難燃材料を総称して「防火材料」と定義していますが、建設省通達平成12年住指発第682号第2「防火に関する基準の見直しについて」の中で、不燃材料、準不燃材料及び難燃材料について、「技術的基準に適合するものとして、不燃材料等である建築材料」と記されており、現在の建築基準法、建築基準法施行令、建設省(現国土交通省)告示には、準難燃材料に関しての規定は述べられておりません。
建築基準法第2条第九号に、建築材料のうち、不燃性能に関して政令で定める基準に適合し、国土交通大臣が定めたものあるいは認定したものと定められています。政令では、その技術的基準は加熱開始後20分間次の要件を満足することとしています。(建築基準法施行令第108条の2)
- 1.燃焼しないもの。
- 2.防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
- 3.避難上有害な煙またはガスを発生しないものであること。
また、国土交通大臣が定めた不燃材料は、平成12年5月30日建設省(現国土交通省)告示第1400号(平成16年9月29日国土交通省告示第1178号により改正)にて以下の様に示されています。
- 1.コンクリート
- 2.れんが
- 3.瓦
- 4.陶磁器質タイル
- 5.繊維強化セメント板
- 6.厚さが3mm以上のガラス繊維混入セメント板
- 7.厚さが5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
- 8.鉄鋼
- 9.アルミニウム
- 10.金属板
- 11.ガラス
- 12.モルタル
- 13.しっくい
- 14.厚さが10mm以上の壁土
- 15.石
- 16.厚さが12mm以上の石膏ボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のものに限る)
- 17.ロックウール
- 18.グラスウール板
不燃材料の指定方法であった昭和45年建設省(現国土交通省)告示第1828号は廃止され、国土交通大臣の認定を受けるための不燃性能は、国土交通大臣に指定された指定性能評価機関による不燃性能試験に規定され、次の(1)又は(2)のいずれかを満足した場合、不燃材料と認められます。
- 1.不燃性試験又は発熱性試験のいずれかに合格し、かつガス有毒性試験に合格したもの。
- 2.不燃性試験又は発熱性試験のいずれかに合格し、かつ不燃材料の基材に化粧を施したもので、その化粧層の有機化合物の合計質量が200g/m2以下のもの、及び予め基材の表面に木質系の材料等が施されている場合の化粧層の有機質は、表面に木質系部分を加味した総有機質の合計質量が400g/m2以下のもの。
建築基準法施行令第1条第五号に建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に加熱開始後10分間、不燃材料の技術的基準と同じ3項目の要件を満足したとして、国土交通大臣が定めたものあるいは認定したものを準不燃材料として定められています。また、国土交通大臣が定めた準不燃材料として、平成12年5月30日建設省(現国土交通省)告示第1401号にて以下の様に示されています。
- 1.不燃材料のうち国土交通大臣が定めたもの
- 2.厚さが9mm以上の石膏ボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のものに限る)
- 3.厚さが15mm以上の木毛セメント板
- 4.厚さが9mm以上の硬質木片セメント板(かさ比重が0.9以上のものに限る)
- 5.厚さが30mm以上の木片セメント板(かさ比重が0.5以上のものに限る)
- 6.厚さが6mm以上のパルプセメント板
また、国土交通大臣の認定を受けるための準不燃性能は、国土交通大臣に指定された性能評価機関による準不燃性能試験に規定され、次の(1)又は(2)のいずれかを満足した場合、準不燃材料と認められます。
- (1)発熱性試験又は模型箱試験のいずれかに合格し、かつガス有毒性試験に合格したもの。
- (2)発熱性試験又は模型箱試験のいずれかに合格し、かつ不燃材料又は準不燃材料の基材に化粧を施したもので、その化粧層の有機化合 物の合計質量が不燃材料の基材にあっては200g/m2以下のもの、準不燃材料の基材にあっては100g/m2以下のもの、及び予め基材の表面に木質系の材料等が施されている場合の化粧層の有機質は、表面に木質系部分を加味した総有機質の合計質量が400g/m2以下のもの。
また、これらの性能を規定化し明確化したことで、準不燃材料といえば、不燃材料を含み、 上位構造が下位構造を含むこととして整理されています。
建築基準法施行令第1条第六号に建築材料のうち、通常の火災による火熱が加えられた場合に加熱開始後5分間、不燃材料の技術的基準と同じ3項目の要件を満足したとして、国土交通大臣が定めたものあるいは認定したものを難燃材料として定められています。また、国土交通大臣が定めた難燃材料として、平成12年5月30日建設省(現国土交通省)告示第1402号にて以下の様に示されています。
- 1.準不燃材料のうち国土交通大臣が定めたもの
- 2.難燃合板で厚さが5.5mm以上のもの
- 3.厚さが7mm以上の石膏ボード(ボード用厚さが0.5mm以下のものに限る)
また、国土交通大臣の認定を受けるための難燃性能は、国土交通大臣に指定された性能評価機関による難燃性能試験に規定され、 次の(1)又は(2)のいずれかを満足した場合、難燃材料と認められます。
- (1)発熱性試験又は模型箱試験のいずれかに合格し、かつガス有毒性試験に合格したもの。
- (2)発熱性試験又は模型箱試験のいずれかに合格し、かつ不燃材料、準不燃材料又は難燃材料の基材に化粧を施したもので、その化粧層の有機化合物の合計質量が不燃材料の基材にあっては200g/m2以下のもの、準不燃材料及び難燃材料の基材にあっては100g/m2以下のもの、及び予め基材の表面に木質系の材料等が施されている場合の化粧層の有機質は、表面に木質系部分を加味した総有機質の合計質量が400g/m2以下のもの。
また、これらの性能を規定化し明確化したことで、難燃材料といえば準不燃材料、不燃材料を含む事となり、前項目と同様、上位構造が下位構造を含むこととして整理されています。

- ※準不燃材料と難燃材料に適用される試験項目は同じでも、判定の基準が異なるなどの違いがあります。
耐火ブロック、耐熱シール材、ロックウール、特殊耐火充填材、耐熱レジン材、けい酸カルシウム板、特殊耐火板、延焼防止塗料、延焼防止シート等があります。
性能評価書に記載されている材料が使用され、その通りの工法が実施されてはじめて大臣認定工法といえます。従って、同種、同性能であってもメーカーの異なるものを用いた場合は大臣認定工法とはいえません。但し、けい酸カルシウム板とロックウールについては建設省(現国土交通省)告示第1400号に従う材料であれば使用できます。
基本的に大臣認定工法の性能を損なわない追加措置は許されます。例えばケーブル延焼防止塗料の塗布等。
ロックウールは岩綿とも呼ばれ、工業製品です。アスベストは石綿とも呼ばれ、天然鉱産物で異なるものです。ロックウールは、けい酸質岩石、玄武岩、石灰岩、スラグ等の溶融物より生成された非結晶ガラス質繊維です。一方、アスベストは蛇紋岩や角閃石に地殻変動などの原因で熱水が作用し、霜柱上に自然に結晶質化した繊維で、微細な小繊維の束からなっています。
用語
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するものをいいます。又これに附属する門や塀も含まれ、地下や高架に設ける事務所や倉庫も含みます。(建築基準法第2条第一号)
学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これに類する用途を供する建築物をいいます。(建築基準法第2条第二号)
主に、建築構造上から重要であるとされている壁、床、柱、はり、屋根、階段をいいます。(建築基準法第2条第五号)
隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500m2以内の建築物は、1の建築物とみなす。)相互の外壁間の中心線(ロにおいて「隣地境界線等」という。)から、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5メートル以下の距離にある建築物の部分をいいます。ただし、次のイ又はロのいずれかに該当する部分を除きます。
イ
防火上有効な公園、広場、川その他の空地又は水面、耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分
ロ
建築物の外壁面と隣地境界線等との角度に応じて、当該建築物の周囲において発生する通常の火災時における火熱により燃焼するおそれのないものとして国土交通大臣が定める部分(建築基準法第2条第六号)
建築物の主要構造部のうち、耐火性能の技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、レンガ造り等の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいいます。(建築基準法第2条第七号)
通常の火災において、非損傷性、遮熱性を有する事。屋内側からの火災において、遮炎性を有する事。これらの事を耐火性能の技術的基準といい、倒壊、延焼防止を目的としています。(建築基準法施行令第107条)
構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊その他の損傷を生じない性能をいいます。
壁、床などの区画部材について、いずれかの面から加熱を受けた時に、加熱面以外の面に接触している、可燃物が燃焼しない、すなわち非加熱面側が、可燃物の燃焼温度以上に上昇しない性能をいいます。
火災時に防火区画の反対側に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じない事をいいます。
加熱面以外の面のうち最も温度が高い部分が200℃、平均が160℃のいずれか高いほうの温度とされています。(H12年5月31日建設省告示1432号)
建築物の主要構造部のうち、準耐火性能の技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいいます。また準耐火構造は、耐火構造の下位の構造として扱われ、耐火構造を含んだ意味になります。(建築基準法第2条第七号の二)
耐火性能の技術的基準に準ずる基準が示されており、延焼抑制を目的としております。(建築基準法施行令第107条の2)
建築物の外壁、軒裏の構造のうち防火性能の技術的基準に適合する鉄網モルタル塗、しっくい塗等の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいいます。また防火構造は、準耐火構造の下位の構造として扱われます。(建築基準法第2条第八号)
建物周囲における火災を想定し、延焼抑止を目的として、非損傷性、遮熱性を有する事をいいます。(建築基準法施行令第108条)
建築材料のうち、不燃性能の技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいいます。(建築基準法第2条九号、平成12年5月30日建設省告示第1400号)(平成16年9月29日国土交通省告示第1178号により改正)
建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に加熱開始後20分間に、燃焼せず、防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じず、避難上有害な煙又はガスを発生しない事をいいます。(建築基準法施行令第108条の2)
主要構造部を耐火構造又は政令で定める技術的基準に適合するものとし、且つ、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等の防火設備を設けた建築物で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいいます。(建築基準法第2条第九の二号)
主要構造部を準耐火構造又は同等の準耐火性能を有するものとして政令で定める技術的基準に適合するものとし、且つ、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等の防火設備を設けた建築物をいいます。(建築基準法第2条第九の三号)
延べ面積が1000m2超の建築物は、防火上有効な壁又は床で区画しなければなりません。これを防火壁等といい、1000m2以内で区画しなければなりません。
※耐火・準耐火建築物、卸売市場の上家、機械製作工場、これらと同等以上に火災の発生するおそれが少ない建築物、畜舎その他政令で定める基準に適合する建築物で国土交通大臣が定める基準に適合するものは除く。(建築基準法第26条、建築基準法施行令第113条)
建築物の火災拡大防止上有効な区画を防火区画といいます。耐火建築物、準耐火建築物は準耐火構造の床、壁、特定防火設備で区画しなければなりません。(建築基準法施行令第112条)
防火戸、ドレンチャー等の防火設備において、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後一時間、当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいいます。(建築基準法施行令第112条第1項)
防火区画の分類の一つとして、一定の面積毎に設けることが規定されていますが、これを通称、面積区画と呼んでいます。(建築基準法施行令第112条第1項、第4〜第6項)
防火区画内の吹き抜け、階段室、エレベーターシャフト、ダクトスペース等の部分を、その他の部分と分けるために、規定されていますが、この部分を通称、竪穴区画と呼んでいます。(建築基準法施行令第112条第11項)
一つの建築物の中に、劇場、映画館、マーケット、ホテル等、目的の異なる部分がある場合、これらをその他の部分と分けるために規定されていますが、これを通称、異種用途区画と呼んでいます。(建築基準法施行令第112条第18項)
11階以上の高層部分については特に厳しく面積区画が規定されています。これを通称、高層面積区画と呼んでいます。(建築基準法施行令第112条第7項~第10項)
防火区画を、給水管、配電管、その他の管、ケーブル等が貫通する部分をいいます。(建築基準法施行令第112条第20項、同第129条の2の4第1項第七号)
通常の火災の場合、非加熱側に火炎を出さないようにする為に、区画貫通部に防火措置を施す工法の事をいいます。(建築基準法第36条、建築基準法施行令第112条第20項、第129条の2の4第1項第七号)
竪穴区画の一部で、ELECTRIC PIPE SHAFT(又はSPACE)の略語です。東京都火災予防審議会では「電気配線シャフト」と統一して呼んでいます。
BCJとは、(一財)日本建築センター、the Building Center of Japan の略称です。
以前は、BCJの中に設置されていた防災性能評定委員会による性能評価によって、その工法が建築基準法に定められている防火基準を満たしているかどうかを評価していました。これをBCJ評定と呼んでいました。
現在、BCJ評定のほとんどは大臣認定に移行され、移行認定という通称で使用されております。
国土交通大臣に指定されている指定性能評価機関によって評価が行われた工法に対して、申請により国土交通大臣が認定を行うことをいいます。
ケーブル防火区画貫通部においては、法律で決められている工法、若しくは大臣認定を受けた工法による施工が義務付けられています。
防火区画に貫通される代表的なケーブルの記号は、次の通りです。CV:架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル、CVT:トリプレックス型(3心撚)CV、VV:ビニル絶縁ビニルシースケーブル、CVV:制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル、IV:屋内ビニル絶縁電線、EM-IE(IE/F):屋内用耐燃性ポリエチレン絶縁電線、EM-CE(CE/F):架橋ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル、EM-EE(EE/F):ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル、EM-CEE(CEE/F):制御用ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル
防火区画貫通部の開口面積に対するケーブル断面積総計との比率の事で、以下の式で求められます。
占積率(%)=(ケーブル総断面積/開口面積)×100(注)トリプレックス型ケーブルのケーブル断面積を算出する場合には、各線心断面積を求めて、それを3倍してください。(包絡円径は使わない。)
大臣認定工法では、付帯条件の最大の占積率が記載されておりますので、遵守の上、施工してください。
ケーブルサイズは1心当たりの導体断面積で表され、単位はmm2になります。
従って、CV 3×325mm2は325mm2の導体が3本使用されたケーブルになります。
ケーブルに使用される導体としては、銅、アルミなどがありますが、主として銅が使用されています。また、光ケーブルには、芯線としてガラス繊維が使用されています。
絶縁体とは、ケーブル導体上に被覆された部分で、特性としては電気絶縁性能が必要です。主として、塩化ビニル系、ポリエチレン系、エチレンプロピレン系材料が使われています。
介在物とは、ケーブルを丸く仕上げるために絶縁線心間に充填する材料のことです。主として、紙紐、ポリプロピレン紐、ジュートなどが使用されています。
シースとはケーブルの最外層に施されたもので、絶縁体への外傷、浸水等を防ぐためのもので、防食層と呼ぶ場合もあります。主として、塩化ビニル系材料や、耐燃性ポリエチレンなどが使用されています。